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薔薇色に変えて
第2章 寂しそうな客

強引に、自分が正しい説のほうに話を持っていく。
だが人生の大先輩はやんわりと、話を真ん中に押し戻した。
「それは村山さんの勝手な思い込みでしょ?
たしかにここに来てくれた時は寂しそうだったよ、それは僕も思ったよ。
だけど、だからって死んでしまいそうだなんて、そこまではねぇ。
だって、死にたいほどだったらこんな人のいる所には来ないでしょ?
誰かといたいからここに来たと僕には思えたけど?」
挽き終えたコーヒー豆の良い香りが店の中にたちこめる。
小此木さんは私をたしなめながらもサイフォンに視線を送ることを忘れなかった。
黒い液体が香りを放ちながらカップに注がれる。
その様をじっと見つめた。
男も、じっと見つめていた。
そして小此木さんも。
アンティークのカップアンドソーサーに注がれたハワイコナが私たちの前に置かれた。
私はすぐに手を伸ばす。
めったに飲めない高いコーヒーだから、いやそうじゃなくて、間が持たなかったから。
これ以上、なんと言えばいいのか、まったく思い浮かばなかった。
だが人生の大先輩はやんわりと、話を真ん中に押し戻した。
「それは村山さんの勝手な思い込みでしょ?
たしかにここに来てくれた時は寂しそうだったよ、それは僕も思ったよ。
だけど、だからって死んでしまいそうだなんて、そこまではねぇ。
だって、死にたいほどだったらこんな人のいる所には来ないでしょ?
誰かといたいからここに来たと僕には思えたけど?」
挽き終えたコーヒー豆の良い香りが店の中にたちこめる。
小此木さんは私をたしなめながらもサイフォンに視線を送ることを忘れなかった。
黒い液体が香りを放ちながらカップに注がれる。
その様をじっと見つめた。
男も、じっと見つめていた。
そして小此木さんも。
アンティークのカップアンドソーサーに注がれたハワイコナが私たちの前に置かれた。
私はすぐに手を伸ばす。
めったに飲めない高いコーヒーだから、いやそうじゃなくて、間が持たなかったから。
これ以上、なんと言えばいいのか、まったく思い浮かばなかった。

