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薔薇色に変えて
第2章 寂しそうな客
私も小此木さんも声をあげた。
勘違いだと笑ったくせに、やっぱり死のうと思っていたと言うなんて。
どれが本当なのか、解らなくなって眉間に皺を寄せる私と小此木さんの顔を
交互に見てから、頭を下げた男が話し出した。

「半年前に妻を亡くしましてね・・突然です、交通事故だったもので。
 朝、普通に行ってきますって家を出た妻が・・物言わぬ姿で帰ってきた・・」

驚いた。言葉を失った。
それは小此木さんも同じだったと思う。

私達は黙ったまま、男の話の続きを聞こうと身を構えた。

「私たち夫婦には子供がおりませんで、なのでいつまでも恋人気分が抜けないというか。
 というのは良い言い方ですが、2人だけの家族ですからね、
 いつでも何をするのでも一緒でした。
 その妻を突然失って・・まだ50前だというのに・・
 まだまだ2人で人生を楽しむつもりでいたのに・・
 事故というのはほんとうに、人の人生をがらりと変えてしまうんですね・・」

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