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薔薇色に変えて
第2章 寂しそうな客
真面目な良い言葉だ、そう思いながら尊敬のまなざしを注いだのに、
小此木さんは肩を上下させてヒヒヒと笑っていた。

そのくだけた態度に、私だけでなく男も思わず吹き出した。
その笑った顔を見て、私は心の底から安心した。
まだこんなふうに笑えるなら、きっと大丈夫・・


「今日は本当にごめんなさい。でもあの・・
 これもきっと何かのご縁だと思って、またここに来てください」

薔薇色という名のこの場所が、引き寄せた縁。
私はまた一人、友人が増えることを祈りながら、彼の瞳に語りかけた。

「ありがとうございます。また・・来ます。必ず来ます。
 やっと居場所が見つかったような気がしましたから」

男は立ち上がって深々と頭を下げた。

「じゃあ私はこれで・・あ、あの、本当にご馳走になってもいいんでしょうか?」

間髪入れずに小此木さんが口を開く。

「もちろんですよ、ねぇ?宣伝部長?」

「はい、もちろんです。でももうないですからね」

笑いの渦が店の中でくるくると踊る。
いつものメンバーたちが奏でる笑い声とは一味違った、
喜びにあふれる笑い声だった。



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