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薔薇色に変えて
第1章 喫茶・薔薇色


私は毎日、といっても仕事へ行く月曜から金曜日の朝に、
この「喫茶・薔薇色」に立ち寄る。
ここから職場まではほんの2分。

そんな好立地にこんなにも素晴らしい喫茶店があるなんて、
ラッキーだと簡単な一言で済ませるのは申し訳ない気さえする。
それほど素敵なコーヒー専門の喫茶店なのだ。


グァテマラ、マンデリン、ブルーマウンテン・・
小此木さんが選び抜いたコーヒー豆をミルで挽く時、
まるで魔法でもかけるみたいに何かを呟きながらカリカリと音をさせ、
芳醇な香りを店中にまき散らす。

私は小此木さんに聞いてみたことがある。
なんて呟いているのか、と。

「最高の味を引き出しておくれ、そう豆にお願いしているんだよ」

そう言って静かに笑った。


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