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薔薇色に変えて
第3章 再会に添えられた喜び
「こんばんは。先日はどうも」

成沢さんは律儀にも立ち上がって挨拶をした。

「こんばんは。こちらこそ、先日は大変な失礼をいたしまして・・」

後の言葉が続かない。
あまりに突然の再会は、私を緊張で縛り付けた。


どこに座ろうかと迷っていると、よかったらご一緒にと
成沢さんが自分の前の椅子を手で指した。

「あ、では・・」

座り慣れているはずの定位置のテーブル席なのにやけによそよそしく感じるのは、
やはり目の前に座る男のせいだろう。

「村山さん、今夜のディナーは?」

「えっとね・・何にしようかな・・あ、今夜はピザトーストにしようかしら。
 しばらく食べてないものね」

迷うほどメニューの数があるわけではない。
ナポリタンかカレー、それにトースト系が二つ三つ。
中でもピザトーストは絶品だ。
とろりとしたチーズの熱さと味は、何度食べても飽きがこない。
良い注文をした、と満足げに水の入ったグラスを持ち上げたところで
成沢さんと目があった。
そこで急に、気がついた。
この男の前で5センチほどの厚みのあるトーストにかぶりつくのか。
大きな口を開けて伸びるチーズをもて遊びながら。








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