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薔薇色に変えて
第3章 再会に添えられた喜び
失敗したかなとグラスを置いた時、成沢さんが小此木さんに声をかけた。

「あの、私もピザトーストお願いしてもいいですか?」

「ええ、もちろん。是非食べてみてください」

小此木さんはさっそく2人前のピザトーストを作り始めた。
玉ねぎをスライスする包丁の音が軽快なリズムを刻む。
その様子を横目でうかがっていると、あの、と成沢さんの声が聞こえた。
視線を戻した私と目を合わせてから成沢さんは、小さな袋を差し出した。

「先日の美味しいコーヒーのお礼です。ささやかなものですが」

そう言ってテーブルの上をすべらせた。

「そんな・・私のほうが失礼をしたのに、お礼だなんて申し訳ないですよ」

ほんとうは嬉しいくせに、すぐには手を伸ばさずに遠慮の姿勢を見せた。

「いえ、高いコーヒー2杯分にも届かないものですから」

そう言って成沢さんは頭を掻いた。
私は小さく頷いてから袋に手を伸ばした。
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