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薔薇色に変えて
第3章 再会に添えられた喜び
高城屋デパートのマークの入った、厚みのほとんどない小さな袋。
手に取った瞬間に、大方の予想はついた。たぶんこれは・・

中味を出してみると思った通り、繊細な花柄のハンカチだった。
むかしながらの、ハンカチーフってやつ。


ちょっとしたお礼やお返しにハンカチを選ぶことはよくある。
でも今時だとタオルハンカチのほうが圧倒的に多い。
だからこうしたハンカチーフには懐かしささえ感じてしまう。
その懐かしさあふれるハンカチを、
この男はどんな顔で選んでいたのだろう・・

「あら、素敵な柄だね。村山さんにピッタリじゃないの」

小此木さんがカウンターから身を乗り出すようにして声をかけた。
私が振り返ると、皺だらけの顔を笑顔に変えた。

「気にいっていただけたでしょうか」

成沢さんは不安げな目で私を見ている。

「女性へのお返しといったらハンカチくらいしか思い浮ばなくて。
 今どきの若い人たちならもっとシャレたものとか選べるんでしょうけど・・
 僕ら世代の定番のようで申し訳ないんですが・・」
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