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薔薇色に変えて
第3章 再会に添えられた喜び
成沢さんの遠慮がちな声に視線を戻し、

「そんなことないですよ。ハンカチは何枚あっても困らないし、
 必ず使うものですもの。ありがたく頂戴します」

私はハンカチをそのままバッグの中へ入れた。
いつでも使えるよう、そしていつでも手に取って眺められるように。


お待ちどうさまと小此木さんが声をかけたので、私は立ち上がり、
カウンターに置かれたピザトーストの皿を自らテーブルへ運んだ。

「お待たせしました、ピザトーストです」

まるでこの店のウェイトレスにでもなったように気取った声をだし、
成沢さんの前に皿を置いた。
チーズがなめらかさを表し、厚みのある食パンが満腹感を誘う。

成沢さんはさっそく手を伸ばす。
私も同じように手を伸ばす。
さっきまでは男の前で食べることをためらっていたくせに、
いざ目の前にするとそんな些細な心配は立ちのぼる煙りのように薄れていった。
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