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薔薇色に変えて
第4章 金曜日の常連
成沢さんに向き直った私は、肩の荷を下ろすような動作で頷いた。
久しぶりに蘇る、父や母との最期の時間。
なんとも言えない辛さと疲れ。
でも今では思い出に変えられた。

「私、一人っ子なので・・
 父が脳梗塞で倒れた時はまだ30代でした。仕事と介護の両立が難しくて、
 結局は退職してしまいました。8年の介護の間はパートで働いて。
 父が亡くなって、さて母と2人どうするかなと思っていた矢先に
 今度は母に癌が見つかって。一年だけの介護でしたけど。
 40になると同時に一人の生活が始まったんです」

ゆっくりと、あの頃という箪笥の引き出しを開けるように語る私を成沢さんは、
息づかいを隠すかのように静かに見つめていた。

その瞳には、私はどう映っているのだろう。
家族の面倒を見ながら一人身でここまで過ごしてきた女を、
どんなふうに想像するのだろうか。
やはり同情だろうか・・

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