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薔薇色に変えて
第4章 金曜日の常連
言った後で、自分で話を逸らしたことに気づいた。
独り、がメインの話ではなかった。
一人で介護をして大変でしたねという話なのに、
一人でも平気だという事をアピールするような答えになってしまった事に、
さらに笑いは加速した。

あきれたねぇと小此木さんはつぶやく。

「そんな笑ってる場合じゃないでしょう?
 この先ずっと一人でいるのかって、みんな心配してんだから。
 織田さんなんてねぇ、本気で心配してんのよ。
 誰かイイ人見つけてやらなきゃいけないなんてさ」

小此木さんはじめ、みんなの親心はありがたい。
だが、ありがたがったところでどうなるものでもない。
縁、というものが無ければどうにも・・

「すみません、私がよけいな事を聞いたりしたから・・」

申し訳なさそうに背を丸める成沢さんが少し気の毒だ。

「いいんです、成沢さんは気にしないで。だいたいね、マスターが悪いんですよ。
 どんな仕事かっていう簡単な話よりも介護の苦労話なんてペラペラしゃべるから!」

「ペラペラって、そりゃひどいよ」

「ヒドイのはどっちですか!」

拍車のかかる押し問答に、成沢さんは全身を使って止めに入ってきた。
まあまあお二人とも、そう言って笑う成沢さんは、
すっかり薔薇色の常連色に染まっていた。



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