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薔薇色に変えて
第5章 思いがけない報告
8時近くに解散となり、薔薇色を出た私と成沢さんは商店街を並んで歩いた。
いつもの分かれ道で立ち止った成沢さんは、
「あの、お時間まだ大丈夫ですか?」と聞いてきた。
よかったら食事でもと誘ってくれたのだ。
「私はこのへんには詳しくないので・・村山さんのお勧めのお店に連れて行ってください」
突然の展開だったので、店がうまく定められなかった。
初めて薔薇色以外で食事をするのだから、いきなり居酒屋はくだけ過ぎだろうかとか、
ムードがありすぎる店も恥ずかしいしとか。
商店街の真ん中でぐるぐる回って目的の方向を探した。
そしてパッとひらめいた、駅前の老舗天ぷら屋に決めた。
商店街とは大きな道路を挟んで反対側にある、駅の前にある天ぷら屋。
ビルの合間に意地を張るかのように構える昔ながらの日本家屋。
どんなに周りが変わろうとも、同じ佇まいを守り続けている、素敵な店だ。