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薔薇色に変えて
第5章 思いがけない報告
カラカラと軽い音をたてた引き戸を開けると、
着物姿の女将が角の静かなテーブル席へと案内してくれた。
席に着き、メニューを手にするとやはりアルコールのお品書きに目がいってしまった。
「あの、成沢さん、お酒は?」
「ええ、最近はめっきり弱くなりましたけど、まあまあ飲みますよ」
「じゃあ少しだけ、付き合ってください」
天麩羅定食を2つ注文した後、女将に瓶ビール1本とグラスを2つとお願いした。
すぐに運ばれてきたビールを手にし、成沢さんのグラスに注いでから
そのまま手酌で自分のグラスに注いだ。
小さく掲げたグラスを軽く合わせ、コーヒーとはまた違う刺激に顔をほころばせた。
「久しぶりにこうして食事しながら飲むビールはすごくおいしく感じますね」
緩やかに下がる目じりに皺をたたえ、
開放感漂わせた成沢さんに、早速話を切り出した。