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薔薇色に変えて
第5章 思いがけない報告
「私がこの話を切り出すと、逆にこちらからお願いしたいとマスターが言ったんです。
 自分ももう歳だし、いつ店に立てなくなるかわからない。
 後を継いでくれる者もいないから、このまま店を閉めるしかないって。
 だからもし私がよければ将来この店を継いでくれないかって」

「そんなことを・・小此木さんが?」

いままで・・
10年近く「喫茶・薔薇色」に通い続け、
身内の様な存在だと私だけでなく小此木さんもまたそう思ってくれているだろうが、
将来の心配を語られた事は無い。
それに私も、いつまでもこの店はあるものだと、いつかは店が無くなるなどと
考えたこともなかったから、小此木さんが成沢さんに語った将来への不安に
気づいてあげられなかった自分を情けなく思った。

「きっとみなさんに心配かけたくなかったんですよ、マスターは。
 だからあんなふうに図々しさをよそおったんだと思います。
 そのマスターの気持ちに応えよう・・
 だから私もマスターに合わせることにしたんです。
 でも誰にも言わないのもなんだか心苦しくて・・
 村山さんにだけは打ち明けようと思って」

私にだけは・・そこに深い意味があるのかどうかはわからないが、
少し浮かれさせてくれた事は事実だ。


下を向き、含み笑いを浮かべたところで料理が運ばれてきた。

「冷めないうちにいただきましょう」

さっそくからりと揚がったかき揚げにかぶりつく。
カサカサ、サクサクと音をたてることをちっとも気にしなかった。
この男の前なら。
彼は私にとってそんな存在になっていた。


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