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薔薇色に変えて
第1章 喫茶・薔薇色
それから半年ほどして、今度は母に病が見つかった。
大腸がんだった。
痩せた母の事を単に父が亡くなったことによるストレスからだと
思っていた私や母は、かなりのショックを受けた。
母は命の危機を、私はまた縛られ自由が奪われる事を、
それぞれが胸の中で受け止めていた。
そして・・
1年後、母は亡くなった。
私の40歳の誕生日というめでたい記念と悲しい日が重なってしまった。
ただ幸いだったのは、母は苦しまずに逝けた。
眠るように、静かにその人生に幕を下ろした。
これで・・ほんとにほんとの独りぼっち。
母の骨を父の元へと連れて行って、
2人が並んで墓の中に納まる様を見てやっと、
一人であることを実感した。