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薔薇色に変えて
第6章 見守りながら・・
一ヶ月二ヶ月と日が経つにつれ、成沢さんも徐々に緊張から解き放たれた。
水もスムーズに出せるし注文も流れるような口調で客に伺う。
そしてマスターに注文を告げる時も息の合ったやり取りを見せた。
「成沢さんもすっかり慣れましたね。おまけにエプロン姿もイタについて。ね?マスター」
サイフォンから私に視線を移した小此木さんは、口元をめいっぱいあげてうなずいた。
「そろそろコーヒーの淹れ方も教えようかと思ってさ。
で、今日から豆の挽き方を教えてるんだよ」
ミルで丁寧に豆を挽く。
小此木さんが魔法をかけるようにつぶやきながら挽かれた豆は、
そのコーヒーの最高の味を引き出してくれる。
ただガリガリと音をたてるだけでなく、ふんわりとした香りも伴って、
私達が思わずニンマリとほほ笑んでしまうような美味しい飲み物に変身するのだ。