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禁煙チュウ
第3章 過去現在
と、まとまらない思考でグチャグチャな頭と裏腹に、指が勝手にケイタに電話をかける。
冷たい風が吹いて体がブルッと震える。腕に鳥肌が立つ。
さっきまで石井を抱き寄せてぬくぬくしてたのが嘘みたいだ。
「おいっす~なに?」
通話が繋がるなり聞こえてきた呑気な第一声にイラっとくる。
残りの階段を一気に降りて、ビルの入口に立つ。
キョロキョロ見回すけどまだあいつの姿はない。
「なに、じゃねぇよなんかあいつが今から店来るとか言ってんだけど」
「は? 誰が?」
「あいつ、雪乃がさ、話がある、みたいなこと言って」
「はぁ」
焦る気持ちに言葉が追い付かない。
こんなんじゃケイタに言ってる意味伝わらないよな、と思いながらも口がうまく回らない。
「あーもうなんなんだよわけわかんねぇよ」
ぐしゃぐしゃと髪の毛を搔き回す。
「いや俺もわかんないよ……、あ」
「あ?」
「あーもしかしてあれかなぁ……」
ケイタの声のトーンが落ちる。
俺の不安が一気に募る。
「なに。なになになに」
「いや、あのさ……前に言ったじゃん、雪乃ちゃん結婚したって」
「おう」
「あれ、なんか俺の早とちりっていうかなんていうか……」
「ああ? どういうこと」
「いや、話せば長いっていうかぁ……」
雪乃と同じことを言うケイタに、ふざけるな、と言おうとしたところで近づいてくるヒールの音に気が付いた。
一年以上聞いていなかったその足音。
なんでわかったのか自分でも不思議だけど、確信があった。
振り返るとそこに、別れた彼女、雪乃がいた。
冷たい風が吹いて体がブルッと震える。腕に鳥肌が立つ。
さっきまで石井を抱き寄せてぬくぬくしてたのが嘘みたいだ。
「おいっす~なに?」
通話が繋がるなり聞こえてきた呑気な第一声にイラっとくる。
残りの階段を一気に降りて、ビルの入口に立つ。
キョロキョロ見回すけどまだあいつの姿はない。
「なに、じゃねぇよなんかあいつが今から店来るとか言ってんだけど」
「は? 誰が?」
「あいつ、雪乃がさ、話がある、みたいなこと言って」
「はぁ」
焦る気持ちに言葉が追い付かない。
こんなんじゃケイタに言ってる意味伝わらないよな、と思いながらも口がうまく回らない。
「あーもうなんなんだよわけわかんねぇよ」
ぐしゃぐしゃと髪の毛を搔き回す。
「いや俺もわかんないよ……、あ」
「あ?」
「あーもしかしてあれかなぁ……」
ケイタの声のトーンが落ちる。
俺の不安が一気に募る。
「なに。なになになに」
「いや、あのさ……前に言ったじゃん、雪乃ちゃん結婚したって」
「おう」
「あれ、なんか俺の早とちりっていうかなんていうか……」
「ああ? どういうこと」
「いや、話せば長いっていうかぁ……」
雪乃と同じことを言うケイタに、ふざけるな、と言おうとしたところで近づいてくるヒールの音に気が付いた。
一年以上聞いていなかったその足音。
なんでわかったのか自分でも不思議だけど、確信があった。
振り返るとそこに、別れた彼女、雪乃がいた。