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禁煙チュウ
第4章 あまのじゃく
客足が落ち着くと、待ちかねたように宮田さんが近づいてきた。
とん、と肩を当てて小声で言う。
「なんかごめん、急に……」
「何がですか?」
とりあえずとぼけてみる。
ん? と宮田さんの眉が上がる。
意外な反応、というように。
「あー、いや、気にしてないなら、いい……」
口元を手で隠して、気まずそうに目をそらす。
ふふふと胸の中で笑う。
そんなんだから、からかいたくなるんですよ。
ちょっと離れてグラスを洗う宮田さんに近づいて、
「タバコ、吸いたくなったんじゃないですか」
と囁く。
一瞬驚いた顔をしたあと、眉根にしわを寄せてわたしを見る。
不機嫌そうな、拗ねた子供のような顔。
わたしはたっぷり一呼吸分宮田さんを見つめて視線を逸らす。
金魚鉢からガムを一つとって宮田さんに差し出す。
「……いらねぇ」
低い声の仏頂面。
男の子が好きな子をいじめるのってこういう感じなんだろうな。
嫌がられるだけなのに。
だけど可愛くてしかたない。
キスするようになって余計にそう思う。
温かくて、触れたところからじんわりなにかが溶けていくような唇。
目を閉じるとその心地よさで眠たくなってしまうような。
相性いいのかな。
グラスを洗う宮田さんの大きな手を盗み見る。
あの手に触れられたら、もっときっと。
とん、と肩を当てて小声で言う。
「なんかごめん、急に……」
「何がですか?」
とりあえずとぼけてみる。
ん? と宮田さんの眉が上がる。
意外な反応、というように。
「あー、いや、気にしてないなら、いい……」
口元を手で隠して、気まずそうに目をそらす。
ふふふと胸の中で笑う。
そんなんだから、からかいたくなるんですよ。
ちょっと離れてグラスを洗う宮田さんに近づいて、
「タバコ、吸いたくなったんじゃないですか」
と囁く。
一瞬驚いた顔をしたあと、眉根にしわを寄せてわたしを見る。
不機嫌そうな、拗ねた子供のような顔。
わたしはたっぷり一呼吸分宮田さんを見つめて視線を逸らす。
金魚鉢からガムを一つとって宮田さんに差し出す。
「……いらねぇ」
低い声の仏頂面。
男の子が好きな子をいじめるのってこういう感じなんだろうな。
嫌がられるだけなのに。
だけど可愛くてしかたない。
キスするようになって余計にそう思う。
温かくて、触れたところからじんわりなにかが溶けていくような唇。
目を閉じるとその心地よさで眠たくなってしまうような。
相性いいのかな。
グラスを洗う宮田さんの大きな手を盗み見る。
あの手に触れられたら、もっときっと。