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禁煙チュウ
第4章 あまのじゃく
「んっ……、ンぅ」
食べられるのかと思うようなキス。
何度も唇を押し付け、吸い、擦り付けてくる。
勢い余って歯がカチカチと当たる。

腰を抱く宮田さんの腕はますますわたしを締付けて、肩を押してみてもビクともしない。
ジワリと体温が上がるのを感じた。
「ンンっ、はぁっ……」
息を継ぐために少し唇を離してもすぐに吸い付かれる。

熱い。合わさった唇から零れる吐息が二人の間の空気を湿らせていく。
そのうち苦しくなってきて、無理やり下を向いて唇を離した。
でも……。

「石井」
低い声が名前を呼んだかと思うと体ごと詰め寄られ、壁に押し付けられた。
それからわたしの顔を掬い上げるように上向かせて、再び唇を押し付けた。
ひんやりした壁の感触と宮田さんの思っていたよりぶ厚い体の熱さに挟まれて頭がクラクラする。

逃げられない。捕まってしまった。
そう思った。

目を閉じる前に見えた宮田さんの瞳。
熱に浮かされたように潤んで、どこか悲しげで。
わたしは胸が痛くなった。
涙が出そうになる。それをごまかしたくて、宮田さんの肩をぎゅっと握る。

どんどんキスは深くなってきて、顔の角度が変わる度唇の内側の粘膜が擦れて、興奮が高まってくる。
宮田さん怒ってるのかな、このまま、どうなるんだろう。そんなことが頭に浮かぶけど、もうどうしようもない。

宮田さんの手がわたしの髪をくしゃっと握る。
指が耳に触れてビクリとしてしまう。
薄く宮田さんが目を開ける気配がした。
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