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禁煙チュウ
第6章 酒は飲んでも飲まれるな
「そういやさぁ、宮田君禁煙続いてるの?」
常連の立木さんが話しかけてきた。
今日は同僚の誕生日だというので五人連れでテーブルを囲んでいる。

「あぁ、おかげさまで続いてますよ」
「へぇー、もう結構たたない?」
「二か月くらいすかね」
「へーすごい! わたしも禁煙してたけど今日お酒飲んだらもうだめだった~」
そう話しかけてきた女性の指には確かにタバコが挟まっていた。

「あぁ~、確かに飲むと吸いたくなりますよね」
「ねー。あ、じゃあお兄さんも飲んでみてよ!」
「いや~俺はちょっと」
お客に勧められて酒を飲むことは割とある。
だけど、このあとのことを考えると今日はちょっと遠慮したかった。

「え~いいじゃ~ん。わたし今日誕生日なんだよ!」
この人か。どうりでテンションが高い。
「それはおめでとうございます」
「ね、一杯だけ」
「そう、ですね……」
「あ、じゃあ宮田君のは俺出すよ」
立木さんが言うものだから、断りにくくなる。

「じゃあ、一杯だけ」
テーブルに置いたビールのピッチャーから一杯もらい、皆で乾杯する。
ぐっと飲み干すと誕生日の女性がすかさず二杯目を注いだ。
あぁ。
あははと笑い声が上がり、場が盛り合がる。

「はい乾杯♪」
ご機嫌でグラスをぶつける。
「はい、お誕生日おめでとうございます」
「ありがと~♪」
二杯目を飲みきる前に立木さんが放った「真中ちゃんは強いよ~」という一言で、俺と真中さんの飲み比べになってしまうのだった。
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