この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁煙チュウ
第6章 酒は飲んでも飲まれるな
「だって、煙草我慢するたびに元カノの事思い出すなんてばかみたいじゃない?」
真中さんが言い放つ。あの日の石井と同じセリフを。
カッと体が熱くなる。
女の人ってなんで皆してこうストレートなんだ?
「普通に、吸いたければ吸えばいいじゃない? 元カノがどうとか関係なく」
真中さんが煙草を取り出して差し出す。
鼻の奥に煙草の香りが蘇る。
煙を吸って、肺を膨らませて、一息に吐き出すあの最高に落ち着く瞬間。
俺は真中さんの指に挟まった煙草に手を伸ばした。もう勝手に体が動いていた。
指が煙草を挟んだ瞬間、後ろからツカツカツカと足音がして、石井が俺の手から煙草を奪った。
驚く間もなく石井は煙草を投げ捨てて、俺の顔に手を添えて上向かせると、勢いのまま、キスをした。
それはもうブチュ~っと。
石井の顔の向こうから、立木さんと真中さんの「え~っ」とか「きゃ~っ」とか、そんな声が聞こえた。
押し付けられた唇にいつもの柔らかさはなくて、間近にある石井の目はぎゅっと何かを我慢するように閉じられていた。
ごめん。
心の中にその一言だけがぽっと浮かぶ。
ごめん。
ごめん。
石井、本当に、ごめん……。
時が止まったような数秒間。
石井はゆっくり唇を離すと、お客さん二人にこう宣言した。
「今日はもう、閉店です」
真中さんが言い放つ。あの日の石井と同じセリフを。
カッと体が熱くなる。
女の人ってなんで皆してこうストレートなんだ?
「普通に、吸いたければ吸えばいいじゃない? 元カノがどうとか関係なく」
真中さんが煙草を取り出して差し出す。
鼻の奥に煙草の香りが蘇る。
煙を吸って、肺を膨らませて、一息に吐き出すあの最高に落ち着く瞬間。
俺は真中さんの指に挟まった煙草に手を伸ばした。もう勝手に体が動いていた。
指が煙草を挟んだ瞬間、後ろからツカツカツカと足音がして、石井が俺の手から煙草を奪った。
驚く間もなく石井は煙草を投げ捨てて、俺の顔に手を添えて上向かせると、勢いのまま、キスをした。
それはもうブチュ~っと。
石井の顔の向こうから、立木さんと真中さんの「え~っ」とか「きゃ~っ」とか、そんな声が聞こえた。
押し付けられた唇にいつもの柔らかさはなくて、間近にある石井の目はぎゅっと何かを我慢するように閉じられていた。
ごめん。
心の中にその一言だけがぽっと浮かぶ。
ごめん。
ごめん。
石井、本当に、ごめん……。
時が止まったような数秒間。
石井はゆっくり唇を離すと、お客さん二人にこう宣言した。
「今日はもう、閉店です」