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禁煙チュウ
第6章 酒は飲んでも飲まれるな
腕の中で石井は何も言わずにじっとしている。
俺はまだ酔いが残っていて、ただくっついた体が温かいなぁとか石井良い匂いだなぁとかぼんやり考えている。
立木さんと真中さんはかなり大人の対応で、会計を済ませると何も聞かずに帰っていった。
どう切り出せばいいか解らないでいた俺を、石井は休憩用のソファまで引っ張っていって座らせた。
ぶん殴られたりするのかなと思ったら、石井は俺の足の間にどさっと座って、俺の腕を自分に巻きつけると黙ってもたれかかってきた。
そろそろと腕に力を入れて抱きしめる。
無防備な首筋に顔をうずめたくなるのを堪えて、石井の後頭部におでこをくっつけるので我慢する。
俺は初めて、人に謝るのが怖いと思った。
謝って、許してもらえなかったら。何も返ってこなかったら。だいたい、謝ること自体なんだか上から目線になってしまわないかとか。
でも石井は逃げないでここにいてくれて、俺の腕の中でじっとしてくれていて、だから俺は言うことができた。
「ごめん、石井。本当にごめん」
「……」
石井は何か言う代わりに俺の腕をぎゅっと握った。
スゥっと息を吸い込む音が聞こえた。石井が何か言いかけてやめる気配が、背中越しに伝わってくる。
ちゃんと俺が言わなきゃ、と思う。
雪乃には半端にしか言えなかった言葉を、声にして。
「本当に、話をするつもりだったんだ。俺はもう雪乃のこと想ってないって。また会うつもりもないしヨリを戻すつもりも無いって」
じゃあなんでしたんだよって、自分で言って自分で思ったけど、石井は何も突っ込まない。俺は自分の気持ちを整理しながら、ゆっくり喋った。
俺はまだ酔いが残っていて、ただくっついた体が温かいなぁとか石井良い匂いだなぁとかぼんやり考えている。
立木さんと真中さんはかなり大人の対応で、会計を済ませると何も聞かずに帰っていった。
どう切り出せばいいか解らないでいた俺を、石井は休憩用のソファまで引っ張っていって座らせた。
ぶん殴られたりするのかなと思ったら、石井は俺の足の間にどさっと座って、俺の腕を自分に巻きつけると黙ってもたれかかってきた。
そろそろと腕に力を入れて抱きしめる。
無防備な首筋に顔をうずめたくなるのを堪えて、石井の後頭部におでこをくっつけるので我慢する。
俺は初めて、人に謝るのが怖いと思った。
謝って、許してもらえなかったら。何も返ってこなかったら。だいたい、謝ること自体なんだか上から目線になってしまわないかとか。
でも石井は逃げないでここにいてくれて、俺の腕の中でじっとしてくれていて、だから俺は言うことができた。
「ごめん、石井。本当にごめん」
「……」
石井は何か言う代わりに俺の腕をぎゅっと握った。
スゥっと息を吸い込む音が聞こえた。石井が何か言いかけてやめる気配が、背中越しに伝わってくる。
ちゃんと俺が言わなきゃ、と思う。
雪乃には半端にしか言えなかった言葉を、声にして。
「本当に、話をするつもりだったんだ。俺はもう雪乃のこと想ってないって。また会うつもりもないしヨリを戻すつもりも無いって」
じゃあなんでしたんだよって、自分で言って自分で思ったけど、石井は何も突っ込まない。俺は自分の気持ちを整理しながら、ゆっくり喋った。