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帝都被虐奇譚 美少女探偵助手の危険な冒険、ふしだらな願望
第8章 男子禁制の園での秘事
ティールームは、いつも通り紅茶が湯気を立て、香ばしいクッキーが置かれています。しかし、何かが異なりました。日頃はこの時間、厳粛な中にもシスターたちの声が絶えることはありません。それがまるですべてが眠ってしまったかのように静まり返っているのです。
「いかがなさいました?」
美少女は微笑みながら、小首をかしげます。
「皆の者は…? そなたと私だけか?」
「本日は、皆、初等部や、中等部に出向いて布教活動に忙しくしておりますことよ」
少女は笑みを絶やさず答えます。
「さ、本日のティータイムは、わたくしが存分に寧子様の御世話をさせていただきますわ。お召し上がりください」
彼女は笑顔を輝かせながら、焼き立てのクッキーを勧めます。

(何よ、これは・・・)
紅茶を一口含んだ寧子嬢は、何やら鼻腔から脳天まで突き刺すような刺激を覚えましたが、どこか日々の緊張を解されるような感覚にも囚われ、心地良くなってきました。同年齢の若い娘との会話は弾みます。
(可愛い娘よな。これほどに聡明で、笑顔の美しい娘は見たことがないわ)
寧子嬢はずっと女子だけの一貫教育を受けており、将来誓い合う男性以外との交際は認められません。特に、この母校の修道院に身を潜めてからというもの、異性に触れ合う機会は全くと言っていいほどありません。しかし、代わりに同年代の清廉な娘を見ると、どこか抑えきれぬほどの「秘めたる欲望」を覚えてしまうのも事実でした。それほどまでに、この目の前にいる修道衣に身を包んだ、慎ましやかでかつ分をわきまえた態度を忘れず、ころころと可愛く笑う少女は美しく魅力的なのです。
(ならぬことよ、寧子)
寧子嬢は己を戒めます。
(今は、逃避行の最中なのじゃ。何か道を踏み外し、おもうさまにご迷惑がかかっては申し訳が立たぬ)
愉しくも妖しい、微かな背徳的な香りを漂わす場の空気。
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