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17歳の寄り道
第12章 【村上編】自覚
白川の家に着き、彼女の母親に挨拶をした。
俺が先程、娘に禁忌を犯したことに気付くはずもない母親を見ていると、小さな棘となって刺さっていた罪悪感は邪悪に膨らんだ。

吐き気がする……
己の汚さに。

挨拶を終えて、白川は、車に戻る俺の後をパタパタと着いてきた。

「先生すごいね。知らん顔できるの…」

――すごい、か。

大人になった分、姑息な笑顔も作れるようになっただけで。
寂しがり屋の彼女の瞳はキラキラさせながら俺を見上げ、愛しさと、一方で憎さを覚える。

俺は、意地悪く口角を上げて、白川を見下ろした。

「当然。碧はまだ余韻が残ってるね。先に顔洗ってきた方がいいよ」

ぱっと両頬を押さえて恥ずかしがる白川を残し、運転席に着く。
尚も俺を信じ切った目をしてついてきた白川のパンティに手を突っ込んだ。

「あっ…」
「シッ。聞かれるよ。その声」

中指を深く挿入して掻き回して、抜いた。
蜜を纏った指を、ぼおっと俺を見上げている白川の、ピンク色の唇に押しつけた。

彼女は俺の指先にチュッとキスをし、指を吸いこんでゆく。
奥の方まで含み終えると、ゆっくりと引き抜き、瞳を潤ませて俺を見つめる。

ドクンと胸を打ったが、唇を噛み締めて振り切った。

「……明日、学校で。」
「はい……」

バタンとドアを閉め、そこに佇む白川を確かめてから車を出した。



この手で、あいつの願いを叶えた。

これで………あいつは満たされたのか?

もっと大きな空虚に襲われるんじゃないか?

小さな傷から膨らんだ罪悪感は、鋭い痛みとなって憎悪してゆく。


家に帰り、乱れたままの和室が視界に飛び込んでくる。
剥がれたシーツに、いくつもの染みが残されている。畳の上に投げ出されたように落ちている、括られたコンドーム。

冷静になってから見るこの光景は、淫靡を通り越し、極めて汚らわしいものだった。

――――何て事をしてしまったんだ。

あいつが寂しがるだとか、理由をつけて、本当に抱きたかったのは俺の方じゃなかったのか。

教え子に恋愛感情を抱いて、頼られる事に喜びを覚えて、欲情して……
一線を越えたかったのは……自分だ。

俺は力なくその場に座り込み、深い後悔の念に苛まれた。
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