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17歳の寄り道
第13章 【碧編】春の観測会
私が休んだその日以降、遥が学校に来る事はなかった。

もうお母さんの街に行っているのか、まだここの家にいるのか…
バタバタしている事は確かだろうから、こちらからは聞けなかった。

それでも、たまにヘンなLINEスタンプだけが送られてきたりする。
それが、“俺の事忘れるな”って意味に思えて、愛おしかった。

遥は、ああ見えて意外と泣き虫だから、彼が泣きたい時は、そばにいられなくても、心だけは寄り添っていたい。


遠く離れても会いに行けるように、バイトを探すことにした。
一度会いに行けば諭吉数枚が軽く吹っ飛ぶ。バイトを始める事には母が反対するだろうけど、どうしても交通費は稼ぎたい。
私は近所の張り紙を探したり、アルバイト情報を見たりして過ごしていた。


ゴールデンウィークの合間に、観測会が行われた。
村上先生の車で行くカレーの材料の買い出しには、高田部長と美咲ちゃんが行っていた。

「あれ?美咲ちゃん、じゃんけん負けてたっけ?」
と聞くと、美咲ちゃんは、小首を傾げてうふふと笑うだけだった。

カレーは、家庭科調理室を借りて調理する。デザートは炭酸ジュースで作るゼリー。それを食べた後は、陽が落ちるまで天文の話や、親睦会などを行う。

村上先生には、「白川、包丁使ったことあるの?」とチャチャを入れられて、赤っ恥をかかされ………料理は得意ではない。

前と何も変わらない先生の態度。
間違ってても迷っていても、「それがお前だ」と認めてくれる。そんな村上先生を敬い慕う気持ちは変わらない。
先生が、私にとって特別な人である事は揺るがなかった。


カレーとデザートを食べ終えて、みんなで洗いものをして、部室に移動する。
部室からも、ある程度観測できるそうだが、天文に疎い私は話を聞いてもちんぷんかんぷんで…。
美咲ちゃんもあまり詳しくないようで、二人で笑い合った。


観測の話や、春の星座の話を聞いている時だった。

「あ、私、鍵持ってきちゃってました」と、美咲ちゃんがポケットの中から調理室の鍵を出した。

「返しに行ってきます」
「ついて行こうか?廊下もそろそろ暗いし…」
「大丈夫です~。一人で行ってきます」

美咲ちゃんは笑顔で席を立ち、部室を出ていった。
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