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17歳の寄り道
第13章 【碧編】春の観測会
村上先生は……と部室内を見回すが、いつの間にかいない。
職員室にいるのかな。そうだとしたら美咲ちゃんと一緒に戻ってくるかもしれないし、暗い校舎内も安心かも。
しかし、美咲ちゃんはしばらく経っても戻って来なかった。


おかしいな。美咲ちゃん、どうしたんだろう…
何かあったのかな。

いい加減様子を見に行こうかと思った時、村上先生が部室に入ってきた。

「屋上開けますよ。各自、貴重品は持って」と指示を出す先生。
「先生、美咲ちゃんは?」

みんな席を立ち始めている中、先生に尋ねたが首を傾げている。

「小谷?知らないけど…どうしたんだ?」
「調理室の鍵返しに行ったきりで…。ちょっと見てきます」
「ああ、気をつけて、俺も後で行くよ」

階段を下りながら美咲ちゃんに電話を掛けた。一応廊下にも灯りはついているのだが、古びた校内はホラー映画に出てきそうな怖さがある。
いくら掛けても繋がらない電話に、胸騒ぎがした。

1階にある調理室まで行っても、誰もいない。

まさか家に帰ったなんて事はないだろうし。職員室で他の先生と話してたり?
いろいろと可能性を考えながら歩いていたら、ふわりと煙草のにおいを感じた。


嫌な予感がした。
この前千晴が、小林先輩たちに呼び出されたと話していたからだ。

藤田先生が近くにいて事なきを得たらしいけれど、美咲ちゃんももしかして!

あの秘密基地――夜になって、あんな所に連れ込まれたら誰も気付いてはくれない。

私は、体育館裏まで走った。



どんどん煙草の匂いが強くなる。
角を曲がったら、そこには小林先輩と、顔の知らない大柄な先輩と、美咲ちゃんがいた。

「あっ、碧先輩っ…」

美咲ちゃんが泣きそうな顔で走ってきた。小林先輩たちは、ニヤニヤしながらこっちを見ていて、そのふざけた態度に腸が煮えくりかえってきた。

「美咲ちゃんに何してるんですか!?」

小林先輩は、咥えていた煙草を地面に吐き、踏みながら火を消した。
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