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17歳の寄り道
第14章 【碧編】自立の階段
じめじめとした梅雨が明け、7月になった。
遥や、小林先輩たちの姿もなくなったことには、もう誰も気に留めず毎日が過ぎている。

遥に付けられたキスマークはとうに消え、痕を残していない。そろそろ、気を張っていたのが緩み始め、遥会いたさに切なくなる日が増えてきた。


村上先生も、美咲ちゃんと私とを気にかけてくれている。
先日の観測会前は、高田部長と私、美咲ちゃんに、頂き物のプリンをくれた。「三つしかないから急いで食べなさい」と言われて、笑いながらかっ込んだ。

受験生の高田部長は、村上先生がやっている研究の道に進みたいらしく、進路の相談をしていたそうだ。

もうすぐ先生は、いなくなってしまうけれど……。
みんな、いろんな形で先生にお世話になっている。



東野君には、遥と付き合っていることを告げた。
遥の代わりに図書委員を引き受けてくれて、初めての当番の時間中に話したのだ。


「……そうかぁ…。薄々、そうかなーって…。あいつ転校前、必死で頼みこんできたんだよ。白川の連絡先教えてくれって。でも、白川もああいうのが好きだとは…」

と笑っていたが、何と、遥とは今もたまに連絡を取っているらしい。
遥は、私には何も言わないんだなぁ。



「いらっしゃいませ、こちらあたためますか?」

6月から無事始められたコンビニバイトも様になってきた。
バイトすることについては、意外にも母が「自分で稼ぎたいならいいんじゃない」と承諾してくれたのだ。但し、成績は落とさないこと、と。


あの優しそうなお兄さんは藤田さんという名前だった。このあたりではわりと名の知れた大学に通う21歳。
最近よく、誰か紹介してと頼まれる。

「ねえ、碧ちゃん。かわいい友達いない?」
「………何ででしょうか…」
「かわいい女子高生と話したいんだよー」
「彼氏持ちの友達しかいません…」

千晴は彼氏いるし。
美咲ちゃんは彼氏はいないが、最近高田部長と仲がいいのを知っている。淡い部内恋愛中の二人は羨ましく微笑ましい。


そんな毎日だが、夏休みに入るとすぐお給料がもらえる。
もらったらすぐに遥に会いに行くと決めている。

遥も同じ事を考えていたようで、すぐに会いに来ると言っていた。
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