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17歳の寄り道
第17章 【千晴編】夢の終わり
ルームサービスで遅めの昼食を取った。
特別楽しくもなさそうな普段の藤田先生だったけれど、私は一緒にごはんを食べられる幸せでテンションが上がり、ずっと喋っていた。
たまに微かな笑顔が出ると、ずっと見ていたくなる。
お泊りしたかったな…。
「明日、サマーコンサートだろう。練習はしないのか」
市のホールで行うサマーコンサート。先生も気に掛けてくれていたようだった。
「今日も昼まで学校で練習してましたよ」
「知ってるよ。俺も校内にいたんだから」
「とてもいい出来だって、斎藤先生が仰ってました」
斎藤先生は音楽の先生で、藤田先生と同じく40代だ。
「そうか」
口角を上げながらコーヒーのカップに口をつけている仕草に魅入ってしまう。
スタイルもいいし、昔はかっこよかったんだと思う。
今も素敵だけれど、藤田先生のことを恋愛対象として見るような生徒は私ぐらいしかいないだろう。
先生は、いつもシニカルな態度しか取らないから、敵を作りやすいだろうけれど……
「家で練習しなくてもいいのか」
「もう、いっぱい練習しましたから……」
「どうだかな」
「聴きに来てくれますか?」
「……仕事だよ」
そっか…
先生は、夏休みも仕事があるんだ。
でも、仕事がなければ来てくれそうな返事に聞こえるのは、ポジティブ過ぎるだろうか。
「少し休んでいいか」
「あ、はい」
先生は、ベッドの上にごろりと横たわった。
「……隣に行ってもいいですか?」
「ああ」
「腕枕を……」
「…ああ」
差し出される熱く逞しい腕に、頬を当てる。
藤田先生の匂いを胸いっぱい嗅いで、甘える子猫のように体を擦り寄せた。
満腹が眠気を誘い、二人ともまどろみながら、知らないうちに眠りについていた。
特別楽しくもなさそうな普段の藤田先生だったけれど、私は一緒にごはんを食べられる幸せでテンションが上がり、ずっと喋っていた。
たまに微かな笑顔が出ると、ずっと見ていたくなる。
お泊りしたかったな…。
「明日、サマーコンサートだろう。練習はしないのか」
市のホールで行うサマーコンサート。先生も気に掛けてくれていたようだった。
「今日も昼まで学校で練習してましたよ」
「知ってるよ。俺も校内にいたんだから」
「とてもいい出来だって、斎藤先生が仰ってました」
斎藤先生は音楽の先生で、藤田先生と同じく40代だ。
「そうか」
口角を上げながらコーヒーのカップに口をつけている仕草に魅入ってしまう。
スタイルもいいし、昔はかっこよかったんだと思う。
今も素敵だけれど、藤田先生のことを恋愛対象として見るような生徒は私ぐらいしかいないだろう。
先生は、いつもシニカルな態度しか取らないから、敵を作りやすいだろうけれど……
「家で練習しなくてもいいのか」
「もう、いっぱい練習しましたから……」
「どうだかな」
「聴きに来てくれますか?」
「……仕事だよ」
そっか…
先生は、夏休みも仕事があるんだ。
でも、仕事がなければ来てくれそうな返事に聞こえるのは、ポジティブ過ぎるだろうか。
「少し休んでいいか」
「あ、はい」
先生は、ベッドの上にごろりと横たわった。
「……隣に行ってもいいですか?」
「ああ」
「腕枕を……」
「…ああ」
差し出される熱く逞しい腕に、頬を当てる。
藤田先生の匂いを胸いっぱい嗅いで、甘える子猫のように体を擦り寄せた。
満腹が眠気を誘い、二人ともまどろみながら、知らないうちに眠りについていた。