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17歳の寄り道
第17章 【千晴編】夢の終わり
柔らかい感触が、額に触れたのに気付いて目を開ける。
先生の指先が、私の髪を弄っては逃していた。
「――起きたのか」
先生は、指先を静かに離す。
逃した髪が私の頬にはらりと落ちてきて、それを避けるように先生の胸に寄り縋る。
「今何時ですか…?」
「暗くなってる。そろそろ支度をしなさい」
海が見えていた大きな窓はもう真っ暗で、ガラスは部屋の照明が反射している。昼間とは違う光景に悲しくなった。
そろそろこの時間の終わりを告げられているようで。
「帰りたくないです、先生」
「………支度をしなさい」
先生にとっては、私の名残惜しさなんて、邪魔でしかないよね。
部屋を出る準備が終わるまで、どちらとも口を開かなかった。
先に用意を済ませた先生は、私の身支度をベッドに座りながら待っていた。すっかり暗くなった窓の外を見ながら。
「準備できました」
「忘れ物はないか」
「ないです」
先生は、名残惜しむ素振りも見せず立ち上がり、部屋のドアノブに手を掛けた。
ガチャリと音がする。
「先生は、楽しかったですか?」
「……ああ」
そして、勢いよくドアが開いた。
「先にホテルを出なさい。右に曲がればパーキングがあるから、その前で待ってろ」
先生の指示に、戸惑いながら頷くだけだったけれど、今の……認めた?先生も楽しかった?
パーキングで、余韻に浸りながら先生を待った。
遅れて歩いてきた先生に微笑んだら、少し訝しげに眉を上げていた。
先生の車の助手席に乗るのを躊躇っていると、「早く乗りなさい」と言われ、仕方なしに乗り込む。
「ここに奥さん…乗ってるんですか?」
「……………」
聞いちゃいけないことだったらしく、すぐに質問を変えた。
「……私、乗っていいのかな?先生の車に…」
「たかが生徒一人を乗せたぐらい、何もない」
たかが生徒…。そうだよね。
先生にとっては私の存在なんて、その程度のものだ。
私の我儘に、つきあってくれただけなんだもん。
エッチはできなかったけど、これで、終わり…。
個人的に会うのは、これが最初で最後。
先生の指先が、私の髪を弄っては逃していた。
「――起きたのか」
先生は、指先を静かに離す。
逃した髪が私の頬にはらりと落ちてきて、それを避けるように先生の胸に寄り縋る。
「今何時ですか…?」
「暗くなってる。そろそろ支度をしなさい」
海が見えていた大きな窓はもう真っ暗で、ガラスは部屋の照明が反射している。昼間とは違う光景に悲しくなった。
そろそろこの時間の終わりを告げられているようで。
「帰りたくないです、先生」
「………支度をしなさい」
先生にとっては、私の名残惜しさなんて、邪魔でしかないよね。
部屋を出る準備が終わるまで、どちらとも口を開かなかった。
先に用意を済ませた先生は、私の身支度をベッドに座りながら待っていた。すっかり暗くなった窓の外を見ながら。
「準備できました」
「忘れ物はないか」
「ないです」
先生は、名残惜しむ素振りも見せず立ち上がり、部屋のドアノブに手を掛けた。
ガチャリと音がする。
「先生は、楽しかったですか?」
「……ああ」
そして、勢いよくドアが開いた。
「先にホテルを出なさい。右に曲がればパーキングがあるから、その前で待ってろ」
先生の指示に、戸惑いながら頷くだけだったけれど、今の……認めた?先生も楽しかった?
パーキングで、余韻に浸りながら先生を待った。
遅れて歩いてきた先生に微笑んだら、少し訝しげに眉を上げていた。
先生の車の助手席に乗るのを躊躇っていると、「早く乗りなさい」と言われ、仕方なしに乗り込む。
「ここに奥さん…乗ってるんですか?」
「……………」
聞いちゃいけないことだったらしく、すぐに質問を変えた。
「……私、乗っていいのかな?先生の車に…」
「たかが生徒一人を乗せたぐらい、何もない」
たかが生徒…。そうだよね。
先生にとっては私の存在なんて、その程度のものだ。
私の我儘に、つきあってくれただけなんだもん。
エッチはできなかったけど、これで、終わり…。
個人的に会うのは、これが最初で最後。