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17歳の寄り道
第19章 【碧編】予兆
「碧」
出勤前の母が私を呼びとめる。
凛太は保育園の用意を済ませ、玄関で靴を履いている。
「今度の出張ね、宿泊になったの。急だし、家を空けて本当申し訳ないんだけど、家の事お願いできる?お父さんにもちゃんと協力するように言っておくから。翌日は早く帰れるから…」
今度の出張の日は、遥に会いに行く前日。
「うん。でも、次の日は友達に会いに行きたいの…」
遥に会う約束だけは諦めたくないので伝えると、母はあっさり頷いた。
「いいよ。じゃあ、その日は凛太を保育園に送ってくれる?帰り迎えにはお母さん行けるから」
昔は、義父が送ったり、迎えに行くこともあったのに。
最近仕事が忙しいからと、義父は今朝も居間まで下りてこない。
その方が気兼ねしなくてよかったので、私にとっては好都合だった。
掃除に洗濯。買い物。
部屋から義父が出て来る頻度が減ったお陰で、食事を作ったりもできたし、バイトで家を出られる。
今年の夏休みは、自分なりに快適に過ごしていた。
―――そして、遥に会いに行く日の前日。
『ごはん用意できた?お父さんはごはん食べてる?』
出張先から、母が電話をくれる。
私と凛太がちょうど晩御飯の夏野菜カレーを食べていたところだった。
「おとうさんは部屋だよ。お昼は食べてたけど、晩御飯はまだだよ」
『そう。じゃあいいわ』
電話の向こうの母の溜息がこちらに聞こえてくるようだった。
凛太も聞き分けいいし、いつもより静かで大人しい。
夜、母がいないことが寂しいのかなあと思っていた。
しかし凛太は義父にも懐いているし、毎日一緒に寝てるし。
今日さえ乗り越えれば、明日はまた母も帰ってくるし。
それより、遥に会いに行く準備をしよう。
遥に会える喜びでいっぱいになっていた私は、機嫌良く部屋の電気を消し、眠りについた。
明日は、凛太を保育園に送ってから、新幹線に乗って…
明日は、遥にたくさん抱き締めてもらうんだ。
出勤前の母が私を呼びとめる。
凛太は保育園の用意を済ませ、玄関で靴を履いている。
「今度の出張ね、宿泊になったの。急だし、家を空けて本当申し訳ないんだけど、家の事お願いできる?お父さんにもちゃんと協力するように言っておくから。翌日は早く帰れるから…」
今度の出張の日は、遥に会いに行く前日。
「うん。でも、次の日は友達に会いに行きたいの…」
遥に会う約束だけは諦めたくないので伝えると、母はあっさり頷いた。
「いいよ。じゃあ、その日は凛太を保育園に送ってくれる?帰り迎えにはお母さん行けるから」
昔は、義父が送ったり、迎えに行くこともあったのに。
最近仕事が忙しいからと、義父は今朝も居間まで下りてこない。
その方が気兼ねしなくてよかったので、私にとっては好都合だった。
掃除に洗濯。買い物。
部屋から義父が出て来る頻度が減ったお陰で、食事を作ったりもできたし、バイトで家を出られる。
今年の夏休みは、自分なりに快適に過ごしていた。
―――そして、遥に会いに行く日の前日。
『ごはん用意できた?お父さんはごはん食べてる?』
出張先から、母が電話をくれる。
私と凛太がちょうど晩御飯の夏野菜カレーを食べていたところだった。
「おとうさんは部屋だよ。お昼は食べてたけど、晩御飯はまだだよ」
『そう。じゃあいいわ』
電話の向こうの母の溜息がこちらに聞こえてくるようだった。
凛太も聞き分けいいし、いつもより静かで大人しい。
夜、母がいないことが寂しいのかなあと思っていた。
しかし凛太は義父にも懐いているし、毎日一緒に寝てるし。
今日さえ乗り越えれば、明日はまた母も帰ってくるし。
それより、遥に会いに行く準備をしよう。
遥に会える喜びでいっぱいになっていた私は、機嫌良く部屋の電気を消し、眠りについた。
明日は、凛太を保育園に送ってから、新幹線に乗って…
明日は、遥にたくさん抱き締めてもらうんだ。