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17歳の寄り道
第22章 【遥編】17歳、浅野遥
「うわあ~♡おいしそう~♡」

村上が買ってきやがったパンを見て、碧は女子らしく喜び、村上はコーヒーを淹れている。

「センセー、俺にもくれんのー」
「お前、何で拗ねてるんだ。いるなら食え。凛太君は…おかゆかな」

チッ。
大人の余裕をふんだんに見せつけてきやがって。

と、碧が並べたパンを見ると、すげーうまそうで、一つ手に取り袋を開けた。


「ありがとう、先生も…遥も………」

碧が、目を合わせず……俯きながら呟く。


……泣いてる…のか。
 

「碧は何も気にすんな」

碧のせいでもないのに、悪いのは親父だろ。
彼女がピンチなら、駆け付けるのも当たり前だし。
本心からそう言ったら、やっと碧と目が合った。目を真っ赤にして俺を見つめている。

すると、コーヒーを淹れていた村上から
「浅野はブラック飲めないだろ」と突然つっ込まれる。

「あ?何で知ってんだよ!」

答えたら、村上も碧も笑ってる。
確かに俺はミルクと砂糖はいるけど……そんな笑うことか?

………でも、碧が笑ってるなら、別にいいけどな。


「ふふ…仲良いね、ふたり……。……」

碧は、泣き笑いのような顔を見せる。

村上と俺が仲良しかどうかはさておき。
碧のクソ親父はブッ殺したいぐらい憎いけど、…俺が来た事で碧が、少しでも心が楽になれば。

何か一つでも役に立てたなら、それでいいよ。




急ぎ足で食べ終え、家を出る支度をしながら、「凛太、体温測った?」と碧に確認した。

「あっ、うん、39.4℃あってね、…保険証はこれで…身長体重はここに書いてて…」と、碧は青い星柄のリュックごと俺に渡す。

「持病ある?薬は?」

「あ、軽い喘息で……お薬は、予防で飲んでるのがあって………えっと、これかな」

と、リュックのポケットから見覚えのある薬を見せられる。
なんかすでにもう懐かしいけど……そうか、凛太もその気ありかと苦笑した。
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