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17歳の寄り道
第30章 【結愛編】結愛の春休み
下道は空いていて、思ったより早く寮についた。
憑き物が落ちるような懐かしい爽快感。バイクで風を切る感覚は久しぶりだった。

ヘルメットを外して頭を振ると、フルフェイスのメットを被ったままの遥が手を伸ばしてきて、私の髪をほぐした。

「遥の彼女、元気?」

続いているのかそうでないのか知らないけど、尋ねてみた。
ヘルメットの中で、遥がどんな顔をしているのかはからない。

「んー……元気だといいな」
「別れたの?」
「そうかもな。わかんね」
「何で?」
「結愛は知らなくていいよ。それより、早く戻れば。あと5分で17時」

遥は意外とそういうところきっちりさせるんだよね…。自分は学校サボりまくりだったくせに。

「はぁい……。あ、春乃さんにお礼言っといてね」
「何の?」
「これ、撮ってもらったの」

バッグの中からガサガサと写真を出し、遥に見せる。
バイクに跨りながら写真に顔を近づけ、ドキドキしながら感想を待った。

「ははは。きれいじゃん」
「何か、私に、価値をつけてくれた気がして。ああ、がんばろーって、思えたの」
「ふぅん。もう十分がんばってると思うけどな」


……がんばってる?私が?

何気ない一言だが、その言葉は私の心を優しく撫でた。

……がんばってるのかな?
こんなに、迷惑ばかりかけてきた私が?
何度ママを泣かせたかわからない、私が?

なんにも言えないでいると、遥はペダルを踏み下ろし、「今度は連絡入れろよ」と言い残して帰って行った。

前とは違った感情が、心を占めてゆく。
撮ってもらった写真を眺めながら、私の人生はもう終わった気でいたけれど、まだ終わってはいないんじゃないかって、そんなことを考えた。

私のこれから。
もっと、ワクワクしてもいいのかな。
きれいにして、毎日楽しんで、普通の子みたいに未来に夢見てもいいのかな。

その日の夜は、小林先輩の夢は見なかった。
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