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17歳の寄り道
第31章 【碧編】碧の春休み
明日から、4月かあ。
レジを打ちながら、店の後ろに掛かっている丸い時計を確かめた。20時まであと少し。

「ありがとうございましたー」

お客様にお辞儀をしてレジを閉めると、藤田さんが何かを探すように店の外を見ている。

「どうしたんですか?」
「ああ、なんか外にすっげー可愛い子いない?髪の長い……」
「え?また、藤田さんの女の子の話ばっかりですね」

そんな藤田さんも千晴にはご執心だったけど、お断りされたそうで、結構長い間落ち込んでいた。
呆れながらも外を見てみると、その女の子と目が合った。なんか、見たことあるような……?

「碧ちゃん、20時だよ。はい、おつかれー」
「はい。お疲れさまでした。お先失礼します」

上がりの時間が来た。裏でオーナーに挨拶をしながらユニフォームを脱ぎ、店を出る。
次のバス逃したら、20分待ちなんだよね。
バス停の方向へ歩いていると、さっきの女の子が駆け寄ってきて、ドンっと腕を押された。

ジーンと腕が痺れた感じがして、今何が起こったのかわからない。地味に痛いし!

「……えっ?何ですかっ!」

腕を押さえながらその子を見ると――結愛ちゃんだった。
しかし、そのきれいな顔には憎しみしかない。

「白川碧でしょ。私のこと覚えてないの?遥の家で会ったの」

あからさまに敵意をむき出しにされて、少し後ずさった。

「……覚えてますけど、何ですか?」
「ちょっと話したいんだけど。」

結愛ちゃんは顎をしゃくり、道沿いにあるファストフード店を指した。

さすが……小林先輩とお付き合いしてたことだけはある……と言ったら語弊があるかもしれないが。
こんな可愛い顔をして、迫力満点だ。
それとも、ここまでさせるほど、私のことが嫌いなのだろうか。
怖気づきながらも、彼女についていった。
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