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17歳の寄り道
第31章 【碧編】碧の春休み
ファストフードの店内は、珍しく団体客が利用していて、私と結愛ちゃんはテラス席についた。
結愛ちゃんは氷のたくさん入ったコーラをテーブルに置いた。
勢いが強くて、タンッと音が響いた。

私に会いに来たのだから、……話は遥のことだろう。

遥とは、夏から連絡も取っていないままだし、村上先生とは、年末最後に会ってから、連絡を控えている。

年末、家まで送り届けてくれた時。
先生は、「またな」とは言わなかった。

俺がいると、お前をダメにしてしまう。
つらい夜は空を見上げろ。
そろそろ、自分の足で立ってみろ――。

そう背中を押されて、車を降りたあの寒い夜。


涙を隠して家に入り、自分の馬鹿さ加減に泣いた。
自分の都合で、縋って、頼って。
誰かから守られたくて、優しい気持ちを踏みにじって。
こんなどうしようもない私が、ぬけぬけと遥に連絡することなんてできなかった。
遥だって、きっともう私と関わらずに済んで、清々しているはずだ。

頼んだコーヒーを口にすると、結愛ちゃんは冷たい眼差しで、吐き捨てるように言った。

「私、あんたのこと大嫌い」
「……そうですか」
「遥だけじゃなくて先生にも手ー出してたんでしょ。最低」
「…………」

すごい言われ様に、伏せていた視線を上げた。

「……結愛ちゃんには言われたくない。」
「何ですって?もう一度言いなさいよ」
「結愛ちゃんだって、遥のこと大事にできてなかったでしょ。遥の家に勝手に上がって、惑わすようなことして」

一息で反論したら、結愛ちゃんはついていた頬杖を外して私に顔を近づける。

「ふーん。女にはちゃんと言うんじゃん。男の前では優等生演じてぶりっこっぽいのに」

そんなつもりは全くない。けれど、どこか痛いところを突かれているからなのか――結愛ちゃんの言葉に、カチンと来る。
屈辱で震える手をぎゅっと握り締め、結愛ちゃんに向き合った。
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