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17歳の寄り道
第35章 【千晴編】24歳、須賀千晴
地元の女子大を出て、地元商社に就職したのが2年前。
ちょうど丸2年働いたところで会社が倒産した。
青天の霹靂。
職を失った私は、やっぱり東京に出ないと仕事がないのかなぁと思いながら、なんとなく派遣会社に登録したのが4月のこと。
その頃、浅野と入籍したと碧から聞いた。
自分のことのように嬉しかったけど、碧がお嫁に行っちゃったのかぁと思うと、なぜか少し寂しかった。
高1の最初は碧と仲良くなれるか不安だったのに、今では大事な友達だ。
「私立男子校の学校事務に空きがひとつあるんですけど、いかがでしょう?」
派遣コーディネーターの方から連絡をいただいたのが――先週。
学校の事務……
何となく想像はつくけど、どんなだろう?
今までの経験は役に立つのだろうか……。
私の心配をよそに、先方との面談はとんとん拍子に進み、無事に採用されることになったのが、ゴールデンウィーク明けてすぐの今日。
「須賀さん。一度校内を見ますか。迷子になっちゃいけないしね」
「じゃあ私案内します」
事務長の指示で、学校事務歴15年の有馬さんが放課後に校内を回ってくれた。
私の通っていた翠学園に比べて、この紅葉学院はまだ新しめの校舎。
母校はボロボロだったもんなぁ……。
自分の青春時代に思いを馳せながら応接室までの廊下を歩いていると、グラウンドにサッカー部らしき面々と、顧問なのか、先生らしき人が厳しく指導している。
懐かしくあの頃の想いが溢れ、無意識に歩みを遅らせた。
藤田先生……元気にしているかな。
高校を卒業してから6年が経った。
今、藤田先生がどうしているのかは全くわからない。
「須賀さん?」
「あ、すみません」
有馬さんに声をかけられ、過去に飛んでいた意識を戻した。
ちょうど丸2年働いたところで会社が倒産した。
青天の霹靂。
職を失った私は、やっぱり東京に出ないと仕事がないのかなぁと思いながら、なんとなく派遣会社に登録したのが4月のこと。
その頃、浅野と入籍したと碧から聞いた。
自分のことのように嬉しかったけど、碧がお嫁に行っちゃったのかぁと思うと、なぜか少し寂しかった。
高1の最初は碧と仲良くなれるか不安だったのに、今では大事な友達だ。
「私立男子校の学校事務に空きがひとつあるんですけど、いかがでしょう?」
派遣コーディネーターの方から連絡をいただいたのが――先週。
学校の事務……
何となく想像はつくけど、どんなだろう?
今までの経験は役に立つのだろうか……。
私の心配をよそに、先方との面談はとんとん拍子に進み、無事に採用されることになったのが、ゴールデンウィーク明けてすぐの今日。
「須賀さん。一度校内を見ますか。迷子になっちゃいけないしね」
「じゃあ私案内します」
事務長の指示で、学校事務歴15年の有馬さんが放課後に校内を回ってくれた。
私の通っていた翠学園に比べて、この紅葉学院はまだ新しめの校舎。
母校はボロボロだったもんなぁ……。
自分の青春時代に思いを馳せながら応接室までの廊下を歩いていると、グラウンドにサッカー部らしき面々と、顧問なのか、先生らしき人が厳しく指導している。
懐かしくあの頃の想いが溢れ、無意識に歩みを遅らせた。
藤田先生……元気にしているかな。
高校を卒業してから6年が経った。
今、藤田先生がどうしているのかは全くわからない。
「須賀さん?」
「あ、すみません」
有馬さんに声をかけられ、過去に飛んでいた意識を戻した。