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17歳の寄り道
第37章 【藤田編】体育教師、藤田哲
俺が高校生の頃は、時代が時代だったのだが、ヤンキーが多かった。

今見たら笑えるような格好と髪型で、目が合えばケンカ。
腕っぷしには自信があった。

とは言え、自分からケンカを仕掛けることはなく、売られれば買っていただけだ。

サッカーは中学・高校と続けていたが、選手レベルには至らない程度のもの。
高校の時のサッカー部のコーチに憧れ、体格と運動神経には恵まれていたので、地元の体育大に進学した。

就職したのは地元の翠学園高校。
歴史のある男子校で、昔から厳しい学校として名を馳せていた。


家内――みのりとは、教職について間もない歓送迎会の夜から付き合うことになった。
当時、俺は22歳。みのりは28歳。

「藤田君て、ずっと怒った顔してるよね?なんでー?笑ったらかわいいのに!」

小悪魔的な、男心をくすぐるような笑顔で話しかけてきたのがみのりだった。

なんだこいつは、と思ったのが第一印象だったが、その笑顔に惹かれてしまったことと、みのりの奔放な誘いに乗り、すぐに男女の深い仲となった。

音大を出て、音楽の教員をしていたみのりの自室には、グランドピアノが置いてあり、クラシックコンサートにもよく連れて行かれた。
音楽には詳しくはなかったものの、元々クラシックは嫌いではなかったので、積極的に聴くようになったのもこの頃だ。

みのりは芸術肌というか、常識にとらわれない女で、俺とは真逆の性格をしていた。
社交性もあり、人の心の懐に飛び込むのが上手かった。

何より、翠学園理事の娘。
少し甘やかされて育ってきた面は時折感じられた。



そうして、教職2年目を迎えた春。病弱だった父が他界した。

「哲。結婚しよう。私と家族作ろう。私、ママになりたい」

俺と付き合っていても、年上であるみのりが何でも決定権を持っていたが、主体性のない俺にはそれでも都合がよかった。

そんなみのりから、結婚の話。
父との離別の悲しみもあった。

「みのりがしたいなら、いいよ」

と返事をしたのが、運命の分かれ道だったのかもしれない。
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