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17歳の寄り道
第37章 【藤田編】体育教師、藤田哲
結婚するにあたり、うちの実家に関する事を徹底的に調べられた。
正直、みのりの実家の遣り口に気分を害することもあった。
理事の了承を得た後は、夏休みに盛大な披露宴を行い、豪華な結婚式を執り行った。
もちろん、俺はみのりを好きだったから結婚した。
それは間違いではないが……。
いつからだったのだろう。
歯車が狂ったのは。
理事である義父と、みのりの顔に泥を塗るようなことはできない。
本来俺はそんなに気の付く方ではなく、愚直で不器用だという自覚はあった。
エリートコースには乗れないのはわかっていたが、失敗は許されないというプレッシャーは常に感じていた。
義父は、小言の多い神経質な男だった。
みのりを溺愛し、みのりよりも年下だった俺をいつも若輩者扱いし、お世辞なども言えない、愛想笑いもできない奴だと周りに吹聴して回っていた。
そんな時に与えられた生徒指導の仕事。
風紀を乱すような生徒がいると、親の敵のように目を光らせ、翠学園の伝統を守るために働いた。
熱くなるあまり、時には生徒に手が出ることもあったが、時代がそれを許し、問題となった時は義父が揉み消していた。
いつしか俺の周りには誰もいなくなっていた。
その時にはすでに、みのりの気持ちが離れていた事は気付いていた。
惇が生まれてしばらく経ち、みのりは社会復帰を果たした。
翠学園高校ではなく、隣市にある学園関連の中学校に着任した。
その頃から、俺を男として見ることはなくなっていた。
それでも、家族として何とか機能はしていたと思う。
みのりの外泊が増えた時は、惇に気付かせないように取り繕ったりもした。
他所で恋愛をしていることぐらい、あけっぴろげな彼女を見ているとすぐにわかった。
しかし、この歯車を俺の手で崩すことはできず、それでも家族としての関係は続いた。
これが家族なんだと思っていた。
そして学園は、少子化による、女子生徒の受け入れが始まり――。
翠学園の一つの時代が終わったような気がして、なかなか現実を見ることができなかった。
いつのまにか、学園に忠誠を誓っていたのかと自分でも驚いた。すっかり義父の犬だなと自嘲した。
正直、みのりの実家の遣り口に気分を害することもあった。
理事の了承を得た後は、夏休みに盛大な披露宴を行い、豪華な結婚式を執り行った。
もちろん、俺はみのりを好きだったから結婚した。
それは間違いではないが……。
いつからだったのだろう。
歯車が狂ったのは。
理事である義父と、みのりの顔に泥を塗るようなことはできない。
本来俺はそんなに気の付く方ではなく、愚直で不器用だという自覚はあった。
エリートコースには乗れないのはわかっていたが、失敗は許されないというプレッシャーは常に感じていた。
義父は、小言の多い神経質な男だった。
みのりを溺愛し、みのりよりも年下だった俺をいつも若輩者扱いし、お世辞なども言えない、愛想笑いもできない奴だと周りに吹聴して回っていた。
そんな時に与えられた生徒指導の仕事。
風紀を乱すような生徒がいると、親の敵のように目を光らせ、翠学園の伝統を守るために働いた。
熱くなるあまり、時には生徒に手が出ることもあったが、時代がそれを許し、問題となった時は義父が揉み消していた。
いつしか俺の周りには誰もいなくなっていた。
その時にはすでに、みのりの気持ちが離れていた事は気付いていた。
惇が生まれてしばらく経ち、みのりは社会復帰を果たした。
翠学園高校ではなく、隣市にある学園関連の中学校に着任した。
その頃から、俺を男として見ることはなくなっていた。
それでも、家族として何とか機能はしていたと思う。
みのりの外泊が増えた時は、惇に気付かせないように取り繕ったりもした。
他所で恋愛をしていることぐらい、あけっぴろげな彼女を見ているとすぐにわかった。
しかし、この歯車を俺の手で崩すことはできず、それでも家族としての関係は続いた。
これが家族なんだと思っていた。
そして学園は、少子化による、女子生徒の受け入れが始まり――。
翠学園の一つの時代が終わったような気がして、なかなか現実を見ることができなかった。
いつのまにか、学園に忠誠を誓っていたのかと自分でも驚いた。すっかり義父の犬だなと自嘲した。