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17歳の寄り道
第39章 【千晴編】夢のはじまり
「…………だ、大丈夫なの……?」

テーブルに身を乗り出す母の顔は不安の色しかない。

実家のリビングに、父母私の3人。
先生のことを両親に伝えたら、想像どおり引いていた――。

「相手の年も……」と母が続けるのを遮り、訴える。

「ずっと好きだった人なの。一緒に住んで、結婚したいの」

母の横で父はフリーズ。

「お願い!変な人じゃないから、一度会って!」

「…………」

顔を見合わせる両親。
やがて父が、重い空気を打破するように言葉を発した。

「……パパは、千晴が好きな人なら反対しないよ。でも、リスクというか…デメリットもあることは、考えてる?」
「考えてるよ」

私の即答に、(わかってないな…)とばかりに言葉を失くす両親。
母が軽く咳払いをして発言した。

「……先生に、一度うちに来て頂いて。話はそれからだわ。ママは……千晴が卒業してるとは言え、生徒に手を出す先生は信じられないかな。離婚もなさってて、お子さんもいるのに……。こんなことなら、翠学園に入れなきゃよかったわ。博貴は知ってるのかしら、その藤田先生のこと」

博貴とは、年の離れた私の兄。
そもそも、お兄ちゃんが翠学園生だったことから私も受験させられたわけで。

全部母の言うとおりにしてきたのに。
会ってもいないのに先生のこと全否定して…

しかし、お兄ちゃんが在学していた頃は、さらに先生が荒くれていた気がして、評判を聞くのが怖い。

「とりあえず、一回呼ぶからっ。日曜、来てもらうからっ!」

父と母をリビングに置いて、私は自分の部屋に入った。

もう25なのに。
先生が同世代だったら、「あら~おめでと~!」で終わってることなんだろう。

……悔しい。


その晩は、先生の家には行かずに、電話をした。
私の話をひとしきり聞いた後、先生は――。

『そうなるだろうな。それが普通の反応だよ。いいお母さんだ』

一応、先生にはすべて報告。
特に驚くでもなく、普通に聞いていた。

『親心もわかってるつもりだから、そう言われるだろうと思っていたよ』

「…………」

『許してもらえるかわからないけど、ちゃんと話すから、それでもだめだった時はまた考えよう』

「はい……」

やけにあっさりしている先生にやきもきした。
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