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17歳の寄り道
第43章 ラストシーン
一人娘のあかりも、医療専門コースに入学した。
ナースになりたいらしい。
忙しい父に反発しながらも、医療の道を志している。


「ご入学おめでとうございます!」

講堂ではきはきと挨拶をしている先生を見かけ、式の最中にそれが堤先生だと知る。

「なんか、あの先生藤田に似てね?」
「そうかなぁ……?」

私にとっては、堤先生はフレッシュなイメージのままなんだけど。当時の藤田先生は本当に怖かったし……。

「しかし、あの藤田が生徒と再婚するとはなあ…。須賀、今幸せなのかなぁ?」
いいおじさんになった遥がしみじみとつぶやき、肘で突く。

「幸せなんて、当人同士が決めることだよ」

藤田先生と結婚した千晴は、会うたび本当に満たされた顔をしているし、惺君は紅葉学院高等部の三年生になる。


学園のパンフレットを見ていた遥が、私の袖をつまみ「ちょっ、これ」と笑いながら指をさす。
覗いてみると、学園の系列大学の紹介に、村上浩輔と書かれた名前と、かすかにその面影が残っている年配の男性の写真が載っていた。

「村上だろ!これ」
「うわぁ~、村上先生、今教授してるんだぁ…」

村上先生。風格出たなぁ。やる気のなさそうなところは変わっていない。
ロマンスグレーの髪に、髭とメガネ。でも、とても素敵だ。

毎年年賀状のやりとりはしているが、卒業以来会っていない。
父のように尊敬し、兄のように慕い憧れた思い出の人。一生忘れることはない。

私と遥は、あの頃に戻ったかのように笑い合い、周りの視線を集めてしまった。こほんと咳払いをして、二人小さくなる。

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