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17歳の寄り道
第43章 ラストシーン
「よく似合ってるよ。入学したら勉強頑張るんだよ」

「はーい」

母はふっと笑うと、隣にいた私に「あかりを見てたら、あんたの高校生時代思い出すわ」とつぶやいた。
祖母となった私の母は、入学式には参加こそしなかったものの、孫の晴れ姿を喜んでくれた。


「あかりー、はるくんと姉ちゃんもこっち向いてー」

桜満開の門の前。
私や遥と同じく、この学園の卒業生でもある凛太が、私たち親子の写真を笑顔でカメラに収める。

「ありがとう、凛太兄ちゃん」

真新しいセーラー服を着たあかりが、凛太に駆け寄り、二人笑いながらカメラを見ている。

凛太もアラサーのお兄さんになっているが、優しい人間に育ったと思う。
母によると、反抗期は一人前にあったらしいけど……。

凛太にはずっと結婚願望はなかったそうだが、今は同じ職場に彼女がいて、ようやく結婚を考えているそうだ。

私がこの街から出て行ったことで、負担が掛かっていないか気がかりだったけれど――。
そんなことを言ったとしたら、「何を気にしてるの?」と逆に呆れられそうほど、彼は大人になっている。

それほど月日は経っていた。



入学式。
懐かしの母校である翠学園は、女子1期生だったあの時と比べ、男女の比率は半々になっていた。

あの頃の古びていた講堂はピカピカの施設に建て替えられている。机も椅子も校舎も、私たちがいた頃の雰囲気は見る影もない。
スポーツ科は廃止になり、今は専門の資格取得できるコースがいくつか増えていた。
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