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17歳の寄り道
第7章 【碧編】来訪者
遥が高校を辞めるのは、家庭の事情だった。
ご両親の離婚が決まったそうだった。
今の高校に通うには、お母さんと離れることになるらしい。

お母さんの実家に戻れば、ここから新幹線と電車を乗り継ぎ、片道3時間ほどの港町に住むことになると言っていた。

「両親は…ここでも、母さんの実家でも、お前の好きな方を選べって言うんだけどさ。母さんはちょっと精神的に弱い人だから、一人にしたくないっつーか…。マザコンじゃねえけど、心配だし…」

膝枕しながら、遥の話に耳を傾ける。
手の甲で、止まらない涙をぬぐっていると、遥が下から指を伸ばして来て涙をすくう。

「泣くなよ」
「なんか、自分でも何で泣いてるのかわかんないの…」
「ははっ」

優しい笑顔…
自分の中ですでに、決断を下しているであろう遥は、表情も前と違う。

遥と近づいてから、まだひと月も経っていない。なのに、ずっと昔からこんな関係だった気がするほど―――。

「ゆ…結愛ちゃんは、なんで一緒にいたの」
しゃくりあげながら尋ねた。


「また勝手に入ってきたから、一緒にいただけだよ」
「エッチは?」
「してねえよ、バカ。信用しなさ過ぎだろ」

だって遥は、いつも調子いいことばっかり言って、なにが本当かわかんない。
………でも、今向き合っている遥には、嘘がないのがわかる。

「俺が母親について行ったら、たぶん結愛と会うことはないよ。あいつ、父方の親戚なんだ」

結愛ちゃんとも、今…別れの準備をしているということ…?

「聞いたよ、小林先輩に…。結愛ちゃんと遥はいとこ同士で、中学の時やりまくってたって」
「やりまくってなんかねぇよ、結愛とは未遂だもん」
「えっ?ホントなの?」

私が作り上げていた遥は、虚像だったの?
遥は、居心地の悪そうな顔をして苦笑した。

「ホントだよ。つきあってたのは嘘じゃねぇけど、あいつは小林先輩ひとすじだから。……あんな人になっちゃったけど…」
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