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17歳の寄り道
第7章 【碧編】来訪者
遥の着地で大きな音がした。

すぐに一階の居間から「どうしたのー?」と、母の声がする。

「ううん、鞄落としちゃってー!」
と大声で返事をし、事なきを得た。

母が部屋に来ることは、こちらから用がない限り、ほとんどない。
今は、義父と母の二人きりの時間だから。

スニーカーを履いたままあぐらをかいている遥。

「く…靴脱いでっ」と指摘したら、笑いながら靴を脱ぎ、いらない雑誌を差し出してそこに置いてもらった。

「……入ったのはいいけど、どうやって帰るの」

ここに遥がいるのがとても不思議で、気恥ずかしくて、遥の顔が見られない。

「……なんで学校来ないの?何で結愛ちゃんが家にいるの?もう家にあげないって言ってたのに…嘘つき」

嫉妬まみれの陳腐な台詞ばかりを遥に向ける私に、遥は何も答えない。

「何しに来たの…」
「泣いてんじゃねーかなーと思って」

誰が泣かしてんのよと言いたかったが、遥は嬉しそうな顔をしているだけ。
私に触れようともせず、床に座ったまま。

「俺は、会いたかったよ」

遥の優しい声を聞くと、胸がつまるように苦しくなる。

嘘ばっかりの遥の、何を信じればいいのかわからないのに。
関わるとロクなことがないと東野君に言われていたけど、本当にそうだったと思う。

それに、村上先生との約束がある。
もう、遥しか知らない私じゃない。
それは「絶対に秘密」だけど…

「俺さあ、去年からずっと考えてたんだけど、高校辞めようと思って。…でも、碧と会えなくなるのが心残り」
「…村上先生はそれ、知ってるの?」
「知ってるよ。村上、1年ん時から何度も家来たし。電話でもLINEでも、何度も話したよ」

そうか…。
先生と遥には、私の知らない関係があるんだ…

うつむくと、遥が突然私の膝の上に頭を乗せた。

「もうっ、なに…」
「膝枕」

遥は、ビー玉みたいな瞳でじっと私の顔を見上げ、口を開く。

「前から好きだったよ。碧にしてみたら、俺なんて、わけわかんねー奴なんだろうけど。
ずっと好きだったよ。俺なんかに好かれても、迷惑だろうけど…」

微笑む遥の頬の上に、私の涙が落ちた。
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