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真昼の情事
第1章 うだる和室
「ねぇ、あんた体熱いよカラ松……」
「お前もだ、一松……」
家賃4万5千、田舎の貸家。
低い音をたてて部屋の隅、扇風機が首を振る夏の昼下がり。テレビと茶箪笥の六畳間。ちゃぶ台には氷の溶けきった麦茶のグラスが二つ。遠くからはセミの声。
すだれに遮られて直射日光は当たらないものの、外の空気が入り込んでくるだけでも相当な温度だ。
暑い暑いと言いながら、離れようとはしない男二人。座椅子に体を預けた一松の隣で肩を寄せ頭を預けるようにするカラ松。触れ合ったところをぬめらせる汗。 水分を吸ってどれだけ重くなったかわからない座布団。
二人とも、時折ちらりちらりと隣に目をやり、出方を伺う。
こうしてゆっくり過ごせるのはどれくらいぶりだろうか。1ヶ月、ではきかない。
時間と体力を気にしながらの触れ合いはあったもののそんなものは解決にはならず、二人とも、飢えている。飢えすぎてむしろ、性急に求める気にならない。熟れたごちそうを慌てて飲み下したくはない。
エアコンは実はある。壊れてもおらず、二人暮らし、誰が禁止するわけでもない。なのにただ隣同士座ってハァハァと体内の熱を逃がすばかりなのも、お互いの間の空気を冷ましたくなかったからだ。
カラ松のこめかみから、つぅっと一粒しずくが垂れた。拭おうとする指も緩慢にしか動かない。
隣の体が動いたのを感じたカラ松がそちらに目をやると、顎にぶら下がるそれを一松が唇を寄せてすすった。
肌に触れるか触れないか。ただ、カラ松の体内から毛穴を通って滲んだ水分だけが一松の口の中に移動する。
━━汚いだろ。
言おうとして、自分がそんなことを問題と思っていないのをカラ松は気付く。
代わりに、すぐのところにある一松の唇に自分のそれをそっと寄せる。触れるか触れないか。やっと目を合わせた二人。
「あんたね……エロいからそれ」
「最初にやったのは一松だろう」
「お前もだ、一松……」
家賃4万5千、田舎の貸家。
低い音をたてて部屋の隅、扇風機が首を振る夏の昼下がり。テレビと茶箪笥の六畳間。ちゃぶ台には氷の溶けきった麦茶のグラスが二つ。遠くからはセミの声。
すだれに遮られて直射日光は当たらないものの、外の空気が入り込んでくるだけでも相当な温度だ。
暑い暑いと言いながら、離れようとはしない男二人。座椅子に体を預けた一松の隣で肩を寄せ頭を預けるようにするカラ松。触れ合ったところをぬめらせる汗。 水分を吸ってどれだけ重くなったかわからない座布団。
二人とも、時折ちらりちらりと隣に目をやり、出方を伺う。
こうしてゆっくり過ごせるのはどれくらいぶりだろうか。1ヶ月、ではきかない。
時間と体力を気にしながらの触れ合いはあったもののそんなものは解決にはならず、二人とも、飢えている。飢えすぎてむしろ、性急に求める気にならない。熟れたごちそうを慌てて飲み下したくはない。
エアコンは実はある。壊れてもおらず、二人暮らし、誰が禁止するわけでもない。なのにただ隣同士座ってハァハァと体内の熱を逃がすばかりなのも、お互いの間の空気を冷ましたくなかったからだ。
カラ松のこめかみから、つぅっと一粒しずくが垂れた。拭おうとする指も緩慢にしか動かない。
隣の体が動いたのを感じたカラ松がそちらに目をやると、顎にぶら下がるそれを一松が唇を寄せてすすった。
肌に触れるか触れないか。ただ、カラ松の体内から毛穴を通って滲んだ水分だけが一松の口の中に移動する。
━━汚いだろ。
言おうとして、自分がそんなことを問題と思っていないのをカラ松は気付く。
代わりに、すぐのところにある一松の唇に自分のそれをそっと寄せる。触れるか触れないか。やっと目を合わせた二人。
「あんたね……エロいからそれ」
「最初にやったのは一松だろう」