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真昼の情事
第2章 風呂場
 一松は目を閉じた。余裕がない。心の中で、出させて出させてと繰り返すだけだ。
 ぐっ、ぐっ、と腰周りの筋肉に力が入って、ギリギリのところまで耐えればビクンと震えて、

「う……っ!」

 一松は無意識にカラ松の口内へ突き込んだ。

 一松の睾丸がきゅっと持ち上がるのを感じて、カラ松は喉奥を締めた。さすがに直接ぶっかけられると大変なことになりかねないからだ。
 動かすのをやめて、口蓋と舌でゆるく包み込むようにして待つと、思わずといった様子でいちばん深くまで突き込まれる。
 ━━やっとだ。愛しい男の命。
 びゅる、びゅる、とプールの塩素のような匂いが口腔内に満ちていく。舌を焼くみたいに熱い。
 カラ松は一松が出し切るのを待ってから、ゆるゆると舌を動かした。小さく亀頭の裏側を掬うようにするだけで、一松が震える。一滴も残すまいと吸い付くと、乱暴に引き抜かれた。
 頭に置かれていた手が久しぶりに意思を持って、カラ松の顔を上げさせる。その動きに促されるようにごくりと一松の出したものを飲み下したカラ松は、吐息をついてゆるく口を開けた。
 喉から犯される。いつまでも引っかかって存在を主張するそれが愛しい。どうせなら、柔らかく芯をなくしたものもしばらく舐めしゃぶっていたかった。
 頬に陶酔の色を昇らせて一松を見つめると、一松は視線を振り切るように目を閉じて長いため息をついた。

「あんたさ……そのうち壊すからこれ、僕のこと」
「なんだ? 壊されたいのかと思ったぞ」

 額を押さえる手に手を沿わせてカラ松が微笑むと、一松は黙ってシャワーヘッドを掴んだ。

「っぷ……!」
「あんたが急かすからさ、洗ってもやれなかったし」

 無造作にカラ松の頭からシャワーをかける。そして湯温を少し上げると自分も頭から被った。全身をざっと流す。

「先出てビールでも飲んでるわ。もう部屋も冷えたでしょ」

 そしてカラ松にシャワーヘッドを手渡した。
 受身に回ったあとの一松の照れ隠しはいつものことだ。カラ松は小さく笑うと体を洗い始めた。
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