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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第2章 艶羨
 今朝はこれまでよりぐっと冷え込んだ。
 秋の足音がする。

 土曜日、少し遅めの昼食をとってから、ふたりでアルバイト先へと行く。
 初めこそなんとなくむず痒いような気恥ずかしさを感じていたものの、今はだいぶ慣れてきた。
 今日はどんなひとたちがいるのかな、どんなプレイが見られるのかな、なんて笑いながら話す余裕も出てきた。

 世の中には『見られたいひとたち』が、ほんとうにたくさんいるものだ。
 わたしには理解できないことだけど……そういった趣味嗜好を持つことに嫌悪感などは抱かない。

 たくさんのひとたちの愛のひと時を見るたび、自らをさらけ出し肌を重ね合わせることの素晴らしさを知る。彼らはみんな、解放的で満ち足りた表情(かお)をしている。

 まるでこれからランチにでも行くように、わたしたちは手を繋いでそこへと向かった。

 階段を下り、重い扉を開ける。
 自然と背筋が伸び、気取った歩き方になった。

 ここで知り得たことは決して外部に漏らしてはならない。
 もしも有名なひとやおもしろいセックスが見られたとしても、それははじめとわたし、ふたりだけの秘密。

「今日はマジックミラー越しではなく、もっと近くで見てほしいというお客さまなのですが、構いませんか? もうすぐ予約をされているお客さまがいらっしゃいます」

 これは初めてのことだった。
 わたしたちはドギマギしながら、お互いにカクカクと首を動かしてうなずいた。
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