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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第2章 艶羨
 黒々とした男根が彼女の身体に突き刺さる。
 体内にひっかかるように反った牡茎は、見る見る濡れていきヌラヌラと光りだした。
 雄と雌のにおいが立ち込める。
 雄たけびのような声が、部屋を大きく揺すぶるようだった。

 圧倒される。わたしはまるで初めて火柱を目の当たりにした子どものように、身体を硬くして息を飲んでしまった。
 奥のほうに疼くものを感じたが、それよりもその凄まじさに度肝を抜かれ、届けてもらったコーヒーを飲むことすら忘れてしまっていた。

 何組ものセックスをマジックミラー越しには見てきたけれど、手を伸ばせば届いてしまうのではないかという距離で見ることは、その比ではなかった。

 熱く燃え滾(たぎ)る男と女の、身体と身体のぶつかり合い。
 コーラルピンクが乳房に傷跡をつけるほどの強さで食い込んでいく。
 腰をまわし、自分たちの一番良い部分を探しながら、卑猥な音をたてて彼らは深く激しく愛し合う。肉と肉がお互いの存在を深く刻み込んでいく。快楽にのけ反り、ふたりは絶える間もなく腰を振る。

 アルバイトとして働くわたしたちは『ただ、ひたすら見る』ことが仕事だ。
 わたしはともかく、はじめにとってこのマジックミラー越しではない観賞は心身ともに苦しいのではないか──と、そう思ったとき、彼がそっとわたしの手に手を重ねた。
 そしてきゅっとわたしの手を握り、彼は奥歯を噛み締めた。目の前の男女は「見られながらの生セックス最高!」と叫びながら、激しく絡み合っている。


***


「今日はくたびれたね」
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