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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第4章 秋雨
 唐突にそう伝える。
 彼はいいじゃんと言って微笑み、行っておいでと続けた。
 里芋は転がらない。彼は的確にそれをつかみ、ゆっくりと咀嚼する。
 わたしはありがとうと言って、彼女にメールを送っても良いかと尋ねた。食事をしているそばでスマートフォンを出すことは、なんとなく抵抗があった。

「もちろん」

 そう言ってから、このイカはれみがさばいたのかと聞いた。

「え? イカ? うん、そうよ。指をぐっと入れてね、ズズーッとワタを取り出したの。大変だけど、まるまるイカ一杯をこうして自分でさばくと、なるべく捨てるところのないようにと考えて料理をすることができるから好きなの。今回使っていない部分は冷凍してあるわ」

 へぇ、と感心したように輪になったイカをまじまじと見ながら彼が言った。

 新鮮な食材を自分の目で見て選び、きちんと調理して食卓に並べる。
 寒い日にはあたたかいものを、暑い日にはよく冷やしたものを。
 食べてくれるひとの顔を想像しながら料理をすることは好きなことだった。

「カフェごはんみたいなオシャレな料理にももっと挑戦してみたいと思うんだけど、自分が家庭内で食べてこなかったジャンルのごはんって時間のあるときじゃないとなかなか勇気が出なくって。バジルやローズマリーなんかはメジャーだしよく使うけど、香りが想像できないスパイスを使うのって失敗してもつくり直す時間がないと、ね」
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