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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第4章 秋雨
 彼女は顔をパッと染めると、そうなのと恥じらうように言った。

「会社のね、企画部にいるひとなの。わたしは総務なんだけどね。バースデープレゼントにって……もらっちゃった。まだ付き合って半年なの。れみたちの安定感には遠く及ばない」

「何を言っているのよ、一番楽しいときじゃない。ちはるの好みをよくわかっている素敵なひとね。よく似合ってるわ」

 なんて幸福そうな顔をするのかしら。眩しいくらいに──……。
 パスタをくるりと巻きつけ、少しずつくちに運んでいく。その合間に、ちはるは彼がどんなひとかを詳しく話してくれた。
 キラキラしている、と思った。
 わたしもはじめと付き合い始めて間もない頃、こんな表情をしていたのかしら。

 外はカリッとしているのに中はふんわりしているそのバゲットはちょうどよくあたたかく、スープに絡めて食べてもとてもよく合って美味しい。
 食事を楽しみ、会話をする。
 友達とこんなふうに過ごすことは久しぶりだった。

 彼女の爪にはペールオレンジのフレンチネイル、一粒ずつ小さなストーンが乗っていた。
 なんとなく、自分が彼女よりも年老いているような錯覚を覚える。装飾品やネイルのことだけじゃない、気持ちが──恋愛や余暇を楽しむことに対する気持ちが、彼女よりも、そして以前の自分自身よりも今の自分はそちらに傾いていない。
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