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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第4章 秋雨
 女はタイムリミットがある分、やっぱりシビアだと思った。
 わたしは、なるほどねと相づちを打ちながら自分たちに置き換えて考えてみた。子どもとか、家とか──。

「式はね、そんなに派手じゃなくてもいいかなって思うの。もちろんれみも呼ぶわよ。ホテルじゃなく、できれば結婚式場専門のところかゲストハウスか……でも、神社で挙げるのも憧れるよね。ドレスはお色直しや二次会でも着られるけれど、白無垢はやっぱり神前式のほうがしっくりくるし」

 表情がくるくると変わる。なんて楽しそうなのだろう。
 結婚の話をするときって、こういう表情をするのがふつうなのかしら?

 自分たちは式の話はおろか、入籍についてだってまだ話し合ったことがない。

 砂が吹き荒れるような不安が胸の中に広がる。
 はじめはわたしと結婚したいと思ってくれているのかしら。

「ちはるはドレスも白無垢もどちらも似合いそう。カサブランカを髪飾りとして使うのも良いし」

「カサブランカ! 素敵よね。憧れる」

 真っ白の、大きな百合の花。何年か前に女優さんが式の際に髪飾りとして使っていた。とても美しく可憐だったので、印象に残っている。

 相手の男性の姿を知らないというのに、ちはるの結婚式の様子はこんなにも容易に想像できる。自分のそれはまったく想像できないのに。
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