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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第4章 秋雨
「なんだかちょっとね、浮かない顔をしているような気がしたから」

 彼女の形のいい薄紅色の唇を見つめながら、わたしは低気圧のせいかもしれないわと答えた。たまに酷い頭痛がするの、とも。

「低気圧ね、つらいわね。今日も残業するの? あんまり無理しないようにね。じゃ、これ他のひとにも配ってくるわ」

 ありがとうと言って、彼女に手を振り返す。
 残業をしなくてはならないほど仕事がたまっているわけではなかった。でも、家にいてはじめを待つより仕事をしているほうが気が紛れた。

 浮かない顔をしている、かぁ。
 プライベートで何があっても、職場にその雰囲気を持ち込むことはしたくないとずっと思ってきた。ダメだわ、これじゃ。

 紅茶の缶をカバンの中に入れようとしたそのとき、スマートフォンが鈍い音をたてた。良いタイミングで鳴るのね──と、そう思いながらタップする。

『れみ、まだ会社? それとも帰っているところかな? ごめん、飲みに誘われたから遅くなる。また帰るときに連絡するから』

 まだ会社よ、わかったわと短い返信をする。
 今晩の夕食を何にするかまだ決めていなかった。
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