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第4章 秋雨

　ひとりめの女性が落としたしおりを、ふたりめの女性が拾ったことが三人の女性が話すキッカケになっていた。三人とも読書が趣味で、同じ作家が好きだった。

　ふたりめの女性が、自分たちが別れた原因は相手側の浮気にあるが、相手が浮気をする隙を作ってしまった自分にも悪いところがあったと思うと小さな声で言う。それを聞いて、両端のふたりは深く考え込んでしまう……。

　浮気。そんなものは自分たちには関係のないものだと思っていたけれど、画面の中の女たちを見ているうちに急にこころがそわそわと騒ぎ立てた。浮気。はじめが？　──まさか！
　そう打ち消したものの、浮気をされても仕方のない理由がわたしにはあった。

「でもやっぱり、浮気をすることは悪いことだと思いますわ。あなたは深く傷ついたのでしょう？　それなら、やはり悪いのはあなたの元カレさんですよ。同じような状況にあっても、浮気をしない男性もいるんですから。浮気をする・しないはひとによると思うんです。元カレさんは浮気をする人間だった。でも、次に付き合うひとはそういう人間ではないかもしれないわ。あなたは悪くありませんよ」

　画面の中の女性が言った。夫に不倫をされている女性。
　まるでわたし自身がそう言われているような気がして、思わず苦笑する。そうね、世の中には『浮気をする人間』と『どんな状況でも浮気をしない人間』がいる。はじめは『浮気をしない人間』のほうだと思う、きっと。